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ホーム > お・い・し・い・エッセイ No.157 世界の菓子切手 村岡安廣 5

世界の菓子切手 村岡安廣(5)韓国の菓子

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 前号(156号)に続いて、韓国の伝統菓子の切手です。前号の餅菓子は料理の一種でしたが、今回は菓子として伝えられてきた4種の菓子をご紹介します。
 平成15年に発行された韓国料理シリーズの第3回で取り上げられた菓子類は、伝統の器に盛りつけられ、餅菓子とは違った趣向で、彩りの鮮やかさも際立っています。
 竹籠入りの白色の菓子は「ユクァ(油菓)」と称され、正月の年始客をもてなす上菓子です。もち米の粉に酒を加えて練り、蒸した後、低温と高温の油で交互に揚げ、蜂蜜をまぶして5色に仕上げられます。鹿児島の軽羹にも似通っており、韓国宮廷菓子の水準の高さがうかがえます。
 丸く黄色い皿には「ヤックァ(薬菓)」が盛られています。小麦粉にゴマ油、酒、生姜などを混ぜて合わせて揚げ、蜂蜜がしみるまで漬けたら、風通しの良いところで乾燥させて出来上がりです。高麗の王子が元朝の中国からの使節をこのヤックァでもてなし、大いに喜ばれたとの逸話が残っており、今なおデパート等で販売されています。
 青磁の八角皿には、各種の「ヨッカンジョン(飴カンジョン)」が盛られています。乾燥米、クルミ、松の実、煎り豆、ゴマ、シソの実、ピーナッツなど様々な材料から作られ、平たく伸ばし、一口大に切って固まったものが供されます。正月に子どもたちが好んで食べたといわれ、主に寒い季節に食されます。
 青磁丸皿には「タシク(茶食)」が並んでいます。煎りゴマ、豆、もち米を粉末にし、蜂蜜と混ぜ合わせ、型にはめて作ります。結婚式や宗教儀式に用いられ、また、還暦の数え年61歳を祝う際にも供されます。
 これらの菓子類には素材の豊かさからのおいしさと、韓国独特の健康志向の味わいがあり、懐かしさ優しさが伝わってきます。

村岡安廣

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ヨッカンジョン   ユクァ
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タシク   ヤックァ