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菓子屋のAnother Work(12) No.197

龜屋は天明3年の創業以来、235年にわたり川越で菓子業を営んで参りました。
当地は川越藩の城下町として栄え、現在も江戸の町並みの面影を残すことから「小江戸」と呼び親しまれ、多くの観光客の方々で賑わっています。昨年には川越氷川祭(川越祭り)が「山・鉾・屋台行事」の一つとしてユネスコの無形文化遺産に登録され、2020年の東京オリンピックではゴルフ競技が開催されることも決まりました。
さて、蔵造りの本店に併設された公益財団法人「山崎美術館」は、龜屋の4代目山崎豊が蒐集した橋本雅邦の作品を軸とした日本画のコレクションを公開するため昭和57年(1982)に設立されたものです。
橋本雅邦は川越藩のお抱え絵師で、明治政府のお雇い外国人アーネスト・フェノロサの援助を受け、狩野芳崖とともに近代日本画を担った人物です。また、東京美術学校で下村観山、横山大観、菱田春草などの指導にあたったことでも知られています。この雅邦を、4代目は川越の有志を中心に「画宝会」を結成して作品を頒布し、援助しました。
当館では雅邦の作品を軸に雛人形や五月人形、陶磁器、菓子の木型など、山崎家・龜屋に伝わる資料の展示を行っております。建物は龜屋の旧工場と蔵の一部を改築したもので、蔵造り建築の特徴や意匠を内から見ることができます。
井戸端の休憩所ではお茶と菓子もお楽しみいただけます。川越散策の際には、ぜひお立ち寄りください。
山蕪o貴子(山崎美術館館長)